女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンは女性の体の維持や妊娠に大きく関わるホルモンですが、これらの分泌はゴナドトロピン(生殖腺刺激ホルモン)によってコントロールされています。
ゴナドトロピンはLH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)があり、それぞれのホルモンの役割が異なります。
今回はゴナドトロピンのFSHについて詳しく解説します。
FSHの働き
FSHは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
役割としては次の2つがあります。(女性の場合)
①卵胞の発育を促す
②エストロゲンの産生を増やす
FSHの分泌動態
FSHは視床下部で産生される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)で分泌が促進されます。
GnRHの分泌はパルス状に行われており、分泌の頻度や量が卵胞期と黄体期では異なります。
この違いによってFSHの分泌量もコントロールされているのです。
一方、FSHの分泌にはポジティブフィードバックやネガティブフィードバックという機構も働きます。
ポジティブフィードバックとは特定のホルモンの分泌が一定量を超えたときに、他のホルモンの分泌がより促進される機構のことです。
逆にネガティブフィードバックとは特定のホルモンの分泌が一定量を超えたときに、他のホルモンの分泌を抑制する機構です。
エストロゲンは排卵期にGnRHにポジティブフィードバックをかけ、卵胞期や黄体期にはネガティブフィードバックをかけます。
また、卵巣の顆粒膜細胞や黄体期の黄体細胞から産生されるインヒビンもFSHにネガティブフィードバックをかけます。
このようにFSHの分泌は様々なホルモンや性活性物質によってコントロールされているのです。
FSHは高ければよいというわけではない
FSHは卵胞の発育を促すため、多ければ多いほど良さそうなイメージがありますね。
しかし実際には少し異なります。
FSHが高いということは、それだけ「卵胞を育てなさい」という命令が強くなければ卵胞が育っていかないということです。
つまり、FSHが高い=卵巣の反応が弱くなっていることを示しています。
FSHは生理周期によって基準値が異なりますが、月経3~5日目に検査を行うと卵巣の機能を正確に推測できます。
卵胞期のFSHの基準値は受診する医療機関や医師の考え方によって異なるため、インターネット上の情報に振り回されず、検査を受けた施設での基準値を聞いておくことが大切です。
まとめ
FSHは卵胞を育て、エストロゲンの産生を増やすホルモンです。
放出動態には様々なホルモンや生理活性物質が関わっており、分泌量がコントロールされています。
FSHが高いということは卵巣の反応が弱くなっていることを示しています。
FSHの検査は月経3~5日目に受けること、受診した医療機関や医師が採用する基準値を確認することが大切です。