不妊治療を受ける人の数は年々増加しており、最近では6組の夫婦のうち1組は不妊に悩んでいるとも言われています。
不妊に悩む人の中には腰痛を持っている人も多いのではないでしょうか。
今回は腰痛と不妊の関係についてご紹介します。
神経伝達の悪化に伴う腰痛・不妊への影響
〇交感神経優位は神経伝達を悪くする
自律神経は交感神経と副交感神経という拮抗している2つの神経系に分かれています。
この2つの神経はそれぞれに働きがあり、交感神経は身体を活動的な状態にするよう働き、副交感神経は身体を休めるように働きます。
また、この2つは片方の働きが優勢になると、もう一方の働きは劣勢になります。
交感神経が優位に働いている場合、神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌が悪くなり、神経伝達が上手くいかなくなります。
〇下肢への神経伝達悪化による冷え、腰痛
アセチルコリンは様々な細胞間をつないでくれる神経伝達物質です。そのため、多くの身体の反応に関わっています。アセチルコリンは運動神経の刺激を筋肉に伝える働きも担っており、筋肉が伸び縮みするのには欠かせません。
アセチルコリンが不足すると筋肉の働きが悪くなってしまいます。筋肉の働きが悪くなると筋肉の血流量が減り、冷えや腰痛の原因となります。
また、冷えが生じて骨盤内への血流量が減少すると、卵巣の機能低下が起こったり、子宮内膜が薄くなり着床を妨げたりするため、不妊の原因となる恐れもあります。
仙骨後傾による子宮後屈
子宮は本来前側に向かって傾いている前屈の状態です。しかし、子宮が後ろ側に向かって傾いてしまうことがあり、この状態を子宮後屈といいます。
子宮後屈の場合、精子が子宮内に入りにくく受精しづらい状態になることがあります。
また、受精できた場合でもその受精卵が上手く子宮にとどまれず着床しづらい状態になることもあります。そういった要因から子宮後屈が不妊につながっている可能性があります。
また、仙骨も通常はやや前方に傾いています。しかし、その仙骨が後ろ向きに傾いてしまうことがあり、仙骨後傾といいます。
子宮後屈は先天性で生まれつきの場合が多いのですが、この仙骨後傾が原因になっている場合もあります。
そしてこの仙骨の後ろへの傾きが原因で腰痛が生じてしまう場合もあるのです。
痛みによる脳のストレス
腰痛が起こると、痛みによって脳がストレスを感じるようになります。脳がストレスを感じると感情の中枢である脳の視床下部に伝わります。
この視床下部は体温調整、代謝などの生命の維持活動を調整する役割を持っている場所です。また、性機能の中枢でもあり、排卵の指示を出す場所でもあります。
そのため、過度なストレスを視床下部が感じた場合は、生命維持活動を優先するため排卵が起こらず、排卵障害を起こしてしまい不妊にもつながります。
まとめ
腰痛と不妊は密接に関わっていることがおわかりいただけたと思います。
腰痛を改善し、妊娠しやすい身体に近づけていきたいですね。