現代の日本で中心的に行われている医療は、西洋医学に基づいています。
西洋医学は原因がはっきりしている病気への治療への強みがある反面、原因がはっきりしない不定愁訴に対してはあまり効果を得られないという方もいます。
一方、漢方を代表とする東洋医学は、自覚症状に着目し、その症状を取り除くことに中心を置くものであるため、不定愁訴が改善されるという方もいます。
不妊治療でも、原因不明の不妊症や体質改善のためにしばしば漢方が用いられます。
今回は、東洋医学について解説をします。
西洋医学と東洋医学の違い
現代の日本の医療機関での診療は、西洋医学を中心に行われています。
西洋医学は、様々な検査を実施して不調の原因をみつけ、その原因に対する治療を行うものです。
ですから、がんや感染症など、原因がはっきりとわかる場合には西洋医学の良さが発揮されます。
一方、東洋医学は人が抱える不調の症状に着目し、その症状を除去するための施術を行います。
ですから、「なんとなくだるい」「体に強い冷えを感じる」という場合には、東洋医学が強みを発揮します。
ただし、東洋医学では西洋医学のような病気を見つけるという点については弱いです。
ですから重大な病気が隠れていないかを確認してから東洋医学を受けるようにしなければ、患者さんは不利益を被る可能性があります。
東洋医学の基本的な考え方は陰陽と虚実
東洋医学には陰陽、虚実、気血水、五臓六腑などさまざまな考え方がありますが、最も基本になるのは陰陽です。
東洋医学では世の中のありとあらゆるものが陰と陽に分けられると考えます。
私たちの体の状態で陰陽を分けると次のようになります。
陰:体温が低い、代謝が低下、寒がり、体が冷えやすい
陽:体温が高い、代謝が活発、暑がり、体に熱がこもりやすい
不妊症で漢方を処方する場合には、患者さんの体質が陰陽いずれの状態になっているかを確認してから行います。
陰陽の判断は問診や視診、触診で行われますが、不慣れな施術者が行うのではなく、専門的な知識を施術者が行わなければなりません。
まとめ
不妊治療を行うクリニックでも、漢方が処方されているケースがあります。
ただし、これらのクリニックではまず患者さんの全身状態を把握し、不妊に繫がる原疾患の有無を確認してから処方を行っています。
漢方で不妊症が改善する患者さんも多くいますが、まずは西洋医学の観点から不妊症を探り、そのうえで漢方を始めとした東洋医学の力を借りることが大切です。
不定愁訴を取り除いたり、体質改善するために東洋医学は有効です。
根本的な体質を見直すことで、妊娠に適した土台ができていくわけです。数字には現れない不調を取り除くことで、ホルモン値や卵胞の質が改善されるなんて不思議に思われるかもしれませんが、解剖、生理学で説明できることもたくさんあるのが東洋医学です。