妊活や不妊治療をしている人にとって基礎体温は、自分の月経周期を把握するのに非侵襲的で簡便な方法です。
しかし基礎体温は非常にデリケートで、正しく測定しなければ意味がありません。
正しく測定した基礎体温のグラフからは妊娠や黄体機能不全、無排卵などの体の状態を予測することもできます。
基礎体温とは
体温は運動、食事、基礎代謝などの影響を受け、1日の中でも1℃程度変化します。
基礎体温は、体温に影響を与える様々な要素を極力排除し、基礎代謝のみを反映させた体温のことです。
そのため、基礎体温を正しく測定するためには次の条件下で測定しなければなりません。
①枕元に基礎体温計を置いて就寝
②4~5時間以上の睡眠
③起床後、寝たままの姿勢で舌下に基礎体温計を入れて測定
基礎体温は、通常低温期と高温期の二相性に分かれます。
排卵前の卵胞期が低温期です。
排卵後、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で体温が上昇し、黄体が寿命を迎える14日程度が高温期となります。
ただし、基礎体温から排卵日の特定はできません。
月経周期には個人差がありますが、通常であれば黄体の寿命は約14日と一定であるため、月経周期の個人差は卵胞期(低温期)の個人差が反映されています。
基礎体温から予測される体の変化
通常の基礎体温では、次のような点がポイントです。
①低温期と高温期の差が0.3℃以上(二相性)
②低温期から高温期への移行が3日以内でスムーズに上昇
③高温期が安定して10日以上継続
このポイントから基礎体温が外れる場合には、妊娠や黄体機能不全、無排卵などの状態になっている可能性があります。
それぞれの状態ではどのように基礎体温が変化するのかを見ていきましょう。
妊娠すると高温期が長くなる
妊娠が成立すると黄体が妊娠黄体に変化するため、プロゲステロンの分泌が継続します。
そのため、高温期が17日以上継続します。
黄体機能不全では高温期のグラフに変化が
黄体機能不全ではプロゲステロンの分泌が減少するため、基礎体温では次のような変化が見られます。
①低温期と高温期の差が0.3℃以内
②高温期の継続が10日以内
③高温期の途中で体温が陥落
無排卵では基礎体温が一相性に
無排卵では卵胞が黄体に変化しないため、プロゲステロンの分泌が起こりません。
ですから基礎体温の上昇は起こらず、一相性のグラフとなります。
まとめ
基礎体温は、4~5時間以上の睡眠後、寝た姿勢のままで測定する体温のことで、基礎代謝を反映しています。
黄体から分泌されるプロゲステロンの作用により、通常の基礎体温では二相性を示します。 基礎体温の変化から妊娠、黄体機能不全、無排卵の予測が可能ですが、確定診断にはそれぞれに適した追加検査が必要で