不妊症に悩むカップルのうち、約半数は男性に原因があります。
以前は「精子は年齢を重ねても老化しない」と言われてきましたが、近年は加齢や生活習慣によって精子の所見が悪化することがわかってきました。
そのため、不妊症を克服するためには男性の精子が良い状態であることが欠かせません。
今回は理想的な精子の質と量、そして精子を良い状態に保つためのセルフケアについてご紹介します。
いい精子とはどんな精子?
セックスの際に射精が可能な男性であれば、「自分の精子は問題ない」と考えがちです。
しかし、射精ができていたとしてもその中の精子の量が少なかったり、精液中をまっすぐに進める精子がほとんどいなかったりすれば自然妊娠は難しくなります。
WHOでは精液検査の基準値を次のように設定しています。
・精液量…1.5ml以上
・精子濃度…1500万/ml以上
・総精子数…3900万/射精以上
・総運動率…40%以上
・前進運動率…32%以上
・正常精子形態率…4%以上
・白血球数…100万/ml未満
これらの基準値にあてはまらなければ、自然妊娠は難しくなります。
ただし精液の所見は検査を受ける日によって変動します。
1回目の精液所見が悪かったとしても、日を改めて再検査をした場合に基準値を満たすようになった、ということも間々あるのです。
ですから1回の検査で結果が悪かったとしても落ち込むことはありません。
複数回検査を受けても精液所見が基準値を満たさない場合でも適切な治療を受けることで精液所見が改善したり、不妊治療によって赤ちゃんを授かったりすることも可能です。
精子の所見をセルフケアで改善できる?
妊娠を望むカップルは、なるべく精液所見を良い状態に保ちたいと思っているでしょう。
適切な医学的治療を受けるのは大前提ですが、セルフケアによって精液所見が改善するケースもあります。
精子のためには健康的な生活を送り、精巣が高温や血行不調にさらされることがないように心がけるといいでしょう。
具体的には次のような生活習慣がおすすめです。
・禁煙
・アルコールを控える
・適度な運動(激しすぎるものはNG)
・不要な薬剤の服用の中止
・バランスのとれた食事
・亜鉛を含む牡蠣やピーナッツ、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEの摂取
・適度な睡眠
・ストレスをためない生活
・長風呂、サウナを避ける
・自転車、バイクに長時間乗らない
まとめ
「射精さえできれば妊娠できる」と男性は思いがちですが、実際には精液内に十分な質と量の精子が存在しなければ妊娠は難しくなります。
精液所見は医学的治療をまずは受けるのが前提ですが、セルフケアによって改善する人もいます。
精子によい生活を心がけることが妊娠への近道です。